妊娠発覚!!
－妊娠２ヶ月以前－

　妊娠がわかったのはいわゆる第５週。ひどい腰痛と下腹痛に悩まされてるのに生理がない。いつも生理直前には具合が悪いから，何時も通りだと思ってたのに。

　で，とりあえず近所の内科へ。最初から産婦人科へ行った方がいいかなぁと思わなかった訳じゃないけど，むるっちとしては「調子が悪い，腰が痛い」状態だったからね。そこで30分以上待った挙げ句，診察の段になって言われたこと。
　「生理が来てから，もう一度来てください。湿布，一週間分出しますから。」
　なんてこった。こんなんで診察料とるかぁ？とツッコミを入れたい気持ちだった。

　同じ通りを駅に向かって100mくらい行くと，産婦人科がある。よっしゃ，もうついでじゃぁって感じで自転車を飛ばす。入ってみると，すごく暗くて，待合室には誰も居ない。産婦人科なのに子供の泣き声もしないの。おまけにすごく痛い内診で，医者も昔風のいばった嫌な感じの人。尿検査で「限りなくクロ」と出て（反応があるんだけど薄いみたいで）一言。「それで，妊娠してたら生むの？　生むんだったら，腰が痛いくらいは我慢しなさい」だってさ。これじゃ不安だよ。

　で，その腰痛と下腹痛の原因は不明。たぶん妊娠のせいだろうってことで薬は飲まなかったんだけど。

　それで次の週，別の産婦人科へ行った。全体に明るくて淡い色調の広々とした感じだった。子供の数がすごく多かった。もちろん妊婦さんもたくさん。公衆電話で「うん，さっきね。そう男の子だった。」なんて話してる人もいる。もうそれだけで安心できた。待合室の雰囲気って，すごく大事だと思った。

　で，当然尿検査。それから診察。内診ってやつね。子宮口の柔らかさを触診でチェック。それから女医さんの前に座る。「ほらね，ピンクのハートマークが出てるでしょ？　妊娠ですね。えっと最終月経から計算して５週に入ってます。」ほんと，ほんと，出てる，出てる。もうばっちりハートだもんね。
　この前の産婦人科は味も素っ気もない検査薬（棒みたいな形で白いプラスチック製）だったのに，今度は丸い検査薬で真ん中にピンクのハートマークがにじみでてる。検査薬までかわいいので，ちょっと嬉しい。
　「腰痛の原因は分からないけど，なにか異常があったらすぐ電話するなり，来るなりしてね」と言ってもらえたときには（医者替えてよかったよぉ）とほんとに思ったもんね。で，「なるたけ安静に」という指示に従って，自転車も控えたし，買い物にも出なくなった。

　でも，それからしばらくすると出血が始まった。少しずつ，しかも隔日くらいで。それでも様子を見ながら安静にしてた。

　第９週になって血のかたまりが出てきちゃったので，慌てて病院へ。そしたら「切迫流産」。それから第12週に入るまでは毎日泣き暮らしてた。子宮収縮剤と止血剤を毎食後に飲んでたのに，全然出血が止まらない。出血が止まったなんて喜んでるとぶりかえしたり。家の中で「絶対安静」状態。お風呂も禁止。家事も一切禁止。外出も当然禁止。血が出てる以外は元気なのに，なんて思うと精神的にすっごく参ってしまって。
　超音波で見ると，ちゃんと赤ちゃんの心臓がばくばくしてるのが見えるのに，血だけが止まらない。すっごい不安で，不安で。周りが心配して言ってくる言葉もただの雑音にしか聞こえなくて，本当に最悪だった。

　その間，だんなさんは大活躍だった。朝，出勤前にむるっちの朝食と昼食を用意して（とは言っても，彼は料理ができない人。りんごを剥いてつわり対策に，おにぎりを握って昼食に。パンやお弁当をコンビニで買ってきてくれたりもした），帰宅後は夕食を用意。休みの日には朝から家事をして，午後から買い出しに。しまいには「弁当に飽きた」とわがまま放題のむるっちのために野菜炒めを作ったりもしていた。いや，りっぱなだんなさんでした（もちろん，ふたりの母からの後方支援，救援物資もあったけど）。

　第11週に入ってすぐ，出血もなくなった。出血の間も，軽いつわりはずっとあった。「つわりがあるってことは，胎児が生きてる証拠でしょ。」この看護婦さんの一言には，ぐっと来た。

　「絶対安静」が解けた最初の週末。むるっちはだんなさんと「なすびパンツ」とマタニティーを買いに行ったのだった。