最後の検診
－妊娠10ヶ月 その４－
さて。今日は「39週６日」。つまり，明日が出産予定日ということ。気持ちの上では，本当に最後の検診(いや，先週もそういう気持ちではいたんだけど)。
ボーナスは出たし，季節はずれの台風も通りすぎた。あとは生まれるだけじゃん！
台風一過の青空のもと，いつもより更に遅い歩みで産婦人科までの道程を歩く。散歩がてら・・・とはいえ，日増しに歩く速さが落ちている気がする。「そろそろかねぇ」と言いながら既に10日。もういいかげん生まれてくれないかなぁ。予定日は明日なんだけど。
実は一昨日の夜中くらいから，お腹がかなりしんどくて，このまま１週間もだらだら過ごすんじゃ，身体がもたないって感じ。トイレは近いし，お腹は張るし，下腹部に胎動が響くし，お尻やお股に向かってベクトルが抜けてく感じがして重いの。本当にしんどい。でも，まだ陣痛はないって状態。そんな中での検診・・・
とりあえずはいつものコース。尿は相変わらず濁り気味で，膀胱炎を疑われるけど自覚症状なし。エコーのモニターを見て，先生が一言「うーん，2800か2900くらいだねぇ」。（へぇ，重さも分かるんだ）って思った。で，そのまま内診台へ。
先生「うーん，下がってるよ。助産婦さんにも診てもらうからね」
（助産婦さんも，先生と同じように内診。）
助産婦「あ，ほんと。下がってるねぇ」
で，ふたり揃って「今夜くらいじゃない？」なんて言う。いつもならこれで終了の検診だけど，今回は「分娩監視装置」とやらで，胎児の心音と子宮の収縮を見るっていうことで，助産婦さんと話しながら陣痛室へ移動する。
陣痛室って，分娩直前まで（つまり子宮口がほとんど全開になるまでね）を過ごす部屋のこと。ベッドが２つと分娩監視装置，それから椅子がいくつか置いてある。ちょっと狭いけど，待合室と同じＢＧＭが流れてる。「だんなさん来てるの？ 監視装置を装着したら，だんなさん呼んできてあげるね」なんて言われる。
肩凝りマッサージの時に肩につけるのみたいな四角いものを２つ，丸出しのお腹にベルトで固定しながら，助産婦さんが病院に来るタイミングを教えてくれる。
（１）陣痛が５分間隔になったら病院に電話してから来る
（２）「出血性のおりもの」ならいいけど，指を切ったときのようにさらさらの血が出たらすぐに病院に電話する
（３）くしゃみのついでに尿がもれるとかではなく，破水したらすぐに病院に電話する
分娩監視装置を着けて約40分。心電図みたいなものがプリントアウトされてくる。その分娩監視装置から出てくる紙をだんなさんとじーっと眺めながら雑談をする。
（あぁ，お腹がきゅぅぅぅって張るぅ）と思うと，針が山形を描き出すの。結構面白かった。助産婦さんがその結果を確認。
「７分おきに収縮してるじゃない。これは前駆陣痛。」
丁度，だんなさんと「この張りと陣痛は何が違うんだろう」って話をした直後だったので，助産婦さんに聞いてみた。すると「前駆陣痛は寝たりすると消えちゃうんだけど，陣痛は痛いし，途中で消えたりしないのよ」と。
分娩監視装置を外して，受付でお金を払って家へ帰るむるっちとだんなさん。助産婦さんが「今夜，待ってるからねー」と，にこやかに送り出してくれる。
「やっぱ，予定通りだねぇ，ぽこさん」「さすがだねぇ」なんて言いながら，帰りは徒歩でなく，バスに乗る。だって，歩くと，腿の付け根や，お尻のほっぺが突っ張って，本当にしんどいんだもん。
ブランチを食べてクリーニング屋さんに寄って家に帰り着いた。病院を後にしてから，だいたい１時間半ぐらい経ってた。
帰宅後，（近いな，やっぱり・・・）なんて思いながら，トイレに駆け込むと出血が。
（へぇ？！）
もしかして，これが噂の「おしるし（おりものに血が混じったもので，量とか色には個人差があるらしい）」なの？？ 助産婦さんの言ってた「出血性のおりもの」ってこれかな？ どうも「さらさら」はしてないみたいだから，このまましばらくすれば陣痛が始まるんだろうって思って，だんなさんに報告する。
その直後，むるっちの母から電話（最近は毎日「どう？」って確認の電話があるのさっ）。で，「おしるし」があったって言ったら，「じゃ，明日だね」って。ふぅん。そんなもんなのか。生まれるときは従姉と見に来るって言ってたから，今夜来るか，明日来るかって話になって・・・
うーーーーーーん。見世物になってる気がする。むるっちもだんなさんも，うきうきしてるけど，ぽこさんの出産が「イベント」みたいになるのには苦笑するしかない。ま，しょうがないか。なんせぽこさんは，どっちにとっても「初孫」ですもん。今のとこ，他の妹弟が結婚する予定もないし，もちろん出産する予定もない。
んで，生まれたら電話する・・・とは言ってたけど，一応ってことで，だんなさんが実家に電話する。だんなさんのお父さんが電話に出て，いきなり「でたか？」と一言。（いやぁ，すいません，まだなんですけど・・・）なんて思いながら，だんなさんとお父さんの会話に聞き耳を立てるむるっち。その後，むるっちはだんなさんのお母さんに状況を説明。「明日くらいには生まれてると思うんですけど」なんて言いながら電話を切る。
むるっちが生まれるときは「おしるし」があってから24時間かっちり掛かったって聞いてたから，そんなもんかなぁなんて思ってたら，だんなさんは「おしるし」があってから12時間以内に生まれたらしい。ふたりとも初産（むるっちもだんなさんも第一子さ）なのに，本当に個人差って大きい。
ちなみにむるっちは予定日ぴったり，だんなさんは予定日より３日遅れて生まれた。
さっ。掃除だ，掃除だ。だんなさんに手伝ってもらって，部屋中を拭きまくる。「掃除の仕納めだ」なんて，だんなさんは浮かれながら，掃除機を振り回す。むるっちは雑巾を持って這い回る。
掃除を済ませて，夕食の買い物へ。「ソフトクリームの食べ納め」なんて言いながら，だんなさんに「コーヒーフロート」をおごってもらう。「一体，何回食べ納めしてるかなぁ？」と，だんなさんに問うと「いや，これはソフトクリームの食べ納めだから」と軽く流される。うーーーん。だんなさん，ちょっとハイになってる。
今は「おしるし」があってから，だいたい４時間くらい経ってる。でも陣痛はない。全然ない。足がむくんで，頻尿で，ちょっと下痢気味で，お腹が定期的に張るだけ。いつになったら入院出来るのかしら？
実はさっき，某妊娠雑誌を読んでたら「妊娠後期には，内診の後に出血することがあるけど大丈夫」なんて書いてあった。あぁ，勘違いだったらどうしよう。ちょっとどきどきする。気分は「プレ狼少年」。あぁ，嘘になりませんように。このまま産んでしまえますように。