意外な大出費
－妊娠４ヶ月－

　最近，お腹に「ぴきっ」って電流が走ることがある。例えば肘なんかを家具にぶつけた瞬間って，手の方までびりりって電流が走った感じがするでしょ？　あれのお腹バージョンって言えばわかるかなぁ？　こう左右にぴきっとね。それが寝返りを打った拍子とか，トイレ済んで立ち上がった途端とかに来るの。そうすると（自分でも笑っちゃうんだけど）さして大きくもないお腹をさすってる自分に気が付く。「うわっ，妊婦みたい」って笑えちゃう。いや，妊婦なんだけどね。

　妊娠前と比べても体重は１～２kg増えたかなぁ。そんなには増えてない。でもお腹は大きくなってるみたい。シャワーのときにピンと背筋を伸ばして下を見る。ほら，男の人でもあんまりお腹が大きいと「おれ，もう何年も自分のモノに会ってないなぁ」っていう類の...。むるっちにはそれはないけど，もう爪先が見えない。もちろん首を下に向ければまだ十分見えるんだけど。
　重さはそんなに感じない。まだまだね。まぁ，ちょっと腰はいただるい（痛くてだるいって意味）けど。妊婦さんの体重の増加は７kgが理想なんだって。理由は簡単。赤ちゃんがだいたい３kg，胎盤やらなんやらで４kg。今，むるっちのお腹の中の割合はどのくらいなんでしょうね（最近，低体重児増加の傾向があるんだけど，そのせいか実は体重増加についてはあまり厳しくは言われないらしい）。
　臨月になると「へそが消える」なんて話もあるみたい。かえるじゃないのに。

　この前，むるっちは血液検査を受けた。エイズとＣ型肝炎と梅毒が中心。これ，いわゆる性感染症っていう類の...ねぇ。でもまぁ，シロだったんで，図らずもだんなさんの無実も証明（いや，疑ってた訳ではないけど）ってとこかな。
　ところがこの血液検査で「むるっちは風疹の予防接種をしてない」ことが露見してしまった。中学１年か２年で，女子だけ受ける風疹の予防接種。１年のときは当日学校を休んでて，２年のときはインフルエンザで２週間寝込んでる最中で，３年のときはめんどくさくて。あぁ，こんなことならちゃんと受けておくんだったと，ちょっとだけ後悔。

　さて，ここで問題。この検査，総額いくらでしょう？　ちなみに妊娠してるかどうかの検査は，ただの尿検査ですぐ結果がでるのに８千円（初診料込みだけど）もした。
　正解は約２万円（これは自治体によって違うらしい。例えば梅毒の検査。東京都は無料だけど，埼玉県は自費なのさ。だから検査費用は住民票のある場所によって差がついてしまう）。こういう検査って保険がきかないみたいで，すっごく割高感がある。だいたい出産費用が35万円って聞いてるのに，そこに行き着くまでにはいくら掛かるのか？　あまりお金持ちでないむるっち夫妻には大いなる不安材料になってる。だんなさんは「ま，なんとかなるよ」と言ってくれるけどね。

　あとは「疲れやすさ」かなぁ。ほんとにすぐ疲れちゃう。もうしばらくしたら，妊婦体操やらお散歩やらって運動しなくちゃいけないらしいのだけど。
　ひとりで買い物に行くと疲れきって帰宅できなくなっちゃうんで，休日にだんなさんと買い溜め，平日はコンビニで，というサイクルで生活してる。家事は休み休みやってる。もともと「体力なし子さん」と家族に呼ばれていたむるっちは，妊婦になって「更に体力なし子さん」になってしまったよう。

　そんなこんなで正月を迎えたころ（第15週），ぱったりとつわりがなくなった。つわりがあったときとの決定的な差っていうのは「空腹を感じることができた」ってこと。つわりのときって，お腹が空くよりさきに「うぇ」って来てるから，２～３時間おきに何かを口に入れてごまかしてた。でも今は「あとちょっとで昼だから，それまで我慢」ってできる。いろんな「におい」もかなり平気になったしね。

　腰痛には悩まされてる。もともと低血圧のむるっちは毛細血管に血液が行き渡らないようで，すぐ肩凝り，腰痛になる。今はそれがすぐ「調子の悪さ」に直結する。それで，最近はだんなさんがマッサージ屋さんごっこをしてくれる。これがないと生きていけない。それからだんなさんに買ってもらったのが「シャープの遠赤ホットパネル」。これで腰痛がぱたっとなくなった。冬の寒さはこれからが本番なのにと思いつつ，ホットパネルの前で座り込みをしながら，むるっちは妊娠５ヶ月を迎えるのだった。