ただのでぶ？
－妊娠３ヶ月－

　妊婦になって驚くのはやっぱり「身体の変化」でしょう。体重の増加がほとんどなくても，へそ周りがこう張り出してきて，おまけにおっぱい（このグロテスクな感じはとても胸なんて言えません）に重量感がある。手のひらで触ると，なんとも言えない力強さを感じる。触りながら（ホルスタインのおっぱいも張ってるのかなぁ）なんて。マタニティ用品売り場のおばちゃんによれば，ピークの時には５cmほど大きくなっているらしくて，そう，カップで言うなら２つは大きいものが必要になるらしい。胸が小さいとコンプレックスだったむるっちの喜びはひとしお。

　他にメジャーなとこでは「酸っぱいものが食べたい」に始まる「嗜好の変化」。ところが，これがないんだな。なんでだろ？　もともと柑橘類の苦手なむるっちは，やっぱり妊娠してもみかんやレモンは好きになれないみたい。でも昔から酸っぱいものは好き。「酢だこ」「もずく」なんかが特に好き。居酒屋メニューだね。
　あとは「捕らわれるメニュー」。人によっては「毎日トマトばっかり食べてたら，生まれた子どもがトマトジュースが好きで...」とか，「なすばっかり食べてたから色黒の子が生まれちゃって」とかいろいろあるみたい。でも，むるっちにはこれもやっぱりない。食い意地が張ってるからかなぁ？　あ，でも「これってこんなに美味しいものだったのか」と再発見したのは「冷やっこ」。あの冷たさ。触感。豆腐と醤油の味のコントラスト。食べてる間は幸せ。あれ？これも居酒屋メニュー？

　「つわり」と言えば，臭いがだめってのは結構ある。スーパーに入った途端に「うぇ」って来ちゃう。パックに詰められた魚や肉でも，店の奥でいろいろやってるでしょ？　その臭いで，もうだめ。一番最近だと，いかめしの実演販売の臭いでお店を追い出されたってことかなぁ？　ベーカリーの香ばしいのもだめだったりするの。コンビニもおでんの臭いで入れない。しばらくの間は「食料品売り場」って鬼門だったよね。
　ひとによっては「道路の臭いがだめ」とか，いやに詳細な嗅覚を覚醒させちゃう人がいるみたい。面白いよね。

　子供からの唯一の反応が「つわり」であるという今，つわりがない時間帯には「妊娠は夢で，実はあたしってば，ただのでぶ？」なんて不安を感じたりする。母親としての自覚なんてそう簡単にはできない。ただ近所のガキンチョを見ても「まぁ，よくそこまで大きくなったわねぇ」的な気持ちになるだけ。ま，今までが「だぁ，うるさい」と思うだけだったことと比べれば，大進歩かも。