どんな味？

　むるっちの作るキャロットケーキはなかなか美味しいと評判。気が向いて久しぶりに作ってみた。

　「おいしい？」と尋ねると「うん、おいしい。ここの赤いとこはにんじんの味がする。なこちゃん、にんじん大好きだもん」となこが応える。よしよし、と気をよくしたむるっち。しょうにも尋ねてみる。

　「しょう、おいしい？」
　「うん、おいしい」
　「どんな味？」
　「・・・ぱん」

　うーん。当たらずとも遠からず・・・ですかね。

　そんなある日のこと。おばあちゃんとりんご狩へ行くことになった。なこちゃんはりんごが大好き。嬉しくて嬉しくて仕方が無い。手が届く下のほうの小さい、白っぽいのを沢山取ってくる。

　「赤くて大きいのを取ってね」と何度言っても小さくて白いのを取ってくる。ま、そこしか手が届かないんだけど。でも、本当に白くて小さいのばっかりなので、「今度は赤いのにしてね」と念を押すむるっちになこが一言。

　「お母さん、これ、白いけど美味しそう」

　それから、おばあちゃんにりんごをむいて貰う。「どう？」と尋ねるおばあちゃんに「すごくおいしい」と応えるなこ。むるっちが「どんな味？」と尋ねると・・・

　「りんごの味」

　ま、そりゃそうだ。そこで、「パンの味」ってのを根に持っていたむるっちはしょうにも聞いてみることにした。「どんな味？」

　しょうはしばらく考え込んで・・・こう答えた。

　「みかんのあじぃ」