先生さよーなら

お父さんが出勤するより前に，なこを園バスに乗せるので，しょうちゃんはいつもお父さんとお留守番。お父さんが出張のときだけ，お見送りに同行。でもお迎えのときには，いつもむるっちと手をつないでバス停で待ってる。

黄色の車体が見えてくると「あ，なこ，きたー」と叫ぶ。バスが停車。園バスから降りた園児たちが一列に並ぶので，しょうも横にちょこんと並ぶ。先生の合図で「せんせい，さよーなら」とお辞儀をする。バイバイって手を振ってバスを見送って帰宅する。

いつも先生が満面の笑顔で「まぁ，上手ですねー」って彼を誉めてくれる。でも，本人はそうは思ってなかったらしい。

先日，手をつないでバス停に行く途中で，しょうが言った。

「おかーさん，今日はしょーちゃんは，先生にごあいさつしない」
「なんで？　しょうちゃんのごあいさつ，上手なのに」
「だって，先生，笑うもん・・・」

口を尖らせてそう言う。まだ園児じゃないし，まぁいいわって思ったむるっちは「じゃ，しょうちゃんはごあいさつしないのね」って尋ねた。しょうは「うん」って，うつむいたまま答えた。

さて。なこがバスから降りてきて，先生が「じゃ，ごあいさつ。はいっ」と言うと，皆が「せんせー，さよーなら」ってお辞儀をした。しょうは・・・やってるやってる。いつもの４０％くらいのお辞儀だけど，声も４０％くらいの音量だけど，ちゃんとご挨拶してる。不本意ながら，反射でご挨拶してしまったって感じ。

ま，反射でも何でもご挨拶できれば上出来だわ。