死んだら？

おばあちゃんちの向かいに小さな公園がある。８月帰省した直後から，朝となく夕となく，毎日公園に通っている。

ある日，公園の入り口で「ヘビの屍骸」を見つけた。最初はハエやアリが群がり，嫌な様相を呈していた。しかし，むるっち（生きているものは全て苦手。特に鳥類・爬虫類・両生類は大っ嫌いさ）は「これは，いい教材だ！」と一応考え，気持ち悪いのを我慢して，こどもと一緒に眺めることにした。すると・・・

しょう「おかーさん，これ，こわいへび？」
なこ「おかーさん，へびはこわいよねぇ？」

ここで母がびびってはいけない。気持ち悪いのをぐっと堪えて答えた。「これは死んでるから，もう怖くないよ」 公園には毎日通うので，結果的に「夏の直射日光で，だんだんミイラ化していくヘビ」を観察し続けるはめになってしまった。

ある日，死んでいるはずのヘビが鎌首をもたげているのに気がついた。（うわぁっ・・・）と心の中で思いつつ，よーく見ると。そう，干からびてきて，皮がつっぱってきて，たまたま首だけがちょっと浮いてしまったのだ。（げぇ・・・）と思いつつ，更に見る。するとヘビの後ろ半分が下の方だけ白骨化しているのだ。そう，これは教材。こどものための・・・ぉぉぉぉ。気持ち悪いよぉ，怖いよぉ，なんておくびにも出せない。心の中でモタモタしているむるっちに一言。

なこ「おかーさん，ヘビって死んだらゴミなの？　ゴミ箱に捨てるの？」
むるっち「ゴミじゃないよ。ヘビだって死んだらゴミって言われたら哀しいと思うよ」
なこ「ふーん。そう？」
むるっち「ほら，ここ見てご覧。白いのが骨だよ。死んだら骨が残るんだねぇ。そういえば，ダイナソーも骨だけ残ってるんだよね（という絵本を読んだことがある）」
なこ「うわぁ，ほんとだ。骨だ，骨だよ。なこが死んだら骨になるの？　おかーさんは？　おかーさんは死なないよね？」

うーん。如何にもって反応だ。だから，ちゃんと教えたよ。みーんな死んだら骨になる。お母さんも，なこちゃんも，いつか必ず死ぬって。すると，しょうが珍しく神妙な顔をして言った。

しょう「おかーさん，アリは何が残るの？　骨？」
なこ「アリには，骨なんてないよね？　おかーさん？」

うっ。２歳児にそんな質問をされるとは・・・。平静を装いつつ，むるっちは答えた。
「そーねぇ。アリさんには骨ないもんねぇ。何が残るのかなぁ？　お父さんに聞いてみようか？」　お父さんなら，ここへ来る前にインターネットで検索する暇もあるはず・・・（でも冷静に考えたら，そんなＨＰが存在するのか？）

それから，毎日毎日，公園に行くたびにヘビのミイラを観察して毎日を過ごしている。思い出したように「骨ってこれだよね？」なんてことも言われたり，「死んだら骨になるんだよね」なんて言われたりするけど，既にそれもお互いに慣れっこだ。

さて。アリが死んだら，何が残るんでしょうねぇ。謎は深いです。