お風呂で

就眠儀式のある子供たち。当然入浴にも儀式がある。これまた大変、という訳で今回はお風呂ネタ。

まず、むるっちがお風呂を洗い、お湯を張る。どぼどぼどぼどぼ・・・お湯の音がすると子供たちはそわそわ。そこで最初の一言。

「おかーさん、なこねぇ、お風呂でちーする」「しょーたんも、ちーしる」

はいはい、むるっちが返事をする前に、もう下半身だけ裸になってる。そう、彼らはお風呂の前には必ず洗い場でおしっこをする、立ったままで・・・。湯船に貯まる音が誘うのか、トイレ以外でしたいのか、それは不明。でも、これがお風呂での第一儀式。

お湯でお尻を洗い、洗い場を流し、お湯が貯まるのを見ている二人。そのうち飽きて、お尻を濡らしたまま部屋の中を走り回る。「まだぁ？」「まだぁ？」と叫びながらね。

さぁ、湯船にいっぱいになりました。なこは独りで脱げるけど、しょうは独りでは脱げない。だから、なこ・むるっちのどちらかの手を借りて裸になる。裸になったしょうは「♪はっだかんぼーのきっしゅ」と歌う。そのフレーズだけを、腹鼓を打ちながら、お風呂に入るまで歌いつづける。「裸ん坊のキッズ」か「裸ん坊のキス」か、そういう意味だとは思うけど、正確には分からない。これが第二儀式。

お風呂に入った。そこで一言。

「もっち、いーね、なーちゃん」「きもちいーね、しょーちゃん」

一緒に湯船に浸かった人同士でご挨拶。むるっちが入っていれば「もっちいーね、おかーたん」ってのもあるけど、むるっちは子供が湯船で遊んでいる間に身体をざっと洗うのでなかなかそういう挨拶をしてもらうチャンスがない。これが第三儀式。

そうこうしているうちに身体を洗う時間。子供同士で背中を流し合うのが最近の習慣。湯船に浸かったむるっちは「わき、洗った？」なんてチェックを入れつつ温まる。さぁ、身体がきれいになったところで洗髪タイム。なこはじーっとしているからさっさと終わる。

「なこちゃん、泣かないでしょ？　もう幼稚園行けるもんねぇ。でも、しょうはだめだよね。まだ２歳だもん」

そう。その通り。洗髪で死んだ人はいないよって言ってやりたくなる程の大泣き。で、泣いて嫌がるから、なこよりも洗髪時間が長くなっちゃうのよね。でも、むるっちの「はい、これでおしまい」の合図で顔を上げて一言。

「きれーなったぁ？」

お湯で濡れてるのか、涙で濡れてるのかっていう状態ではあるけど、きれいになってるよ。うんうん。これが第三儀式。

（番外だけど、むるっちの洗髪中には、しょうが必ず「おかーたん、なかないでぇ」と優しい声で何度も覗き込む。顔が見えないから不安なのかな、自分が泣くから心配してくれるのかなぁなんて思って「お母さんは大丈夫よ」「泣いてないよ」と何度か返事をしたこともあったけど、本人は笑いながら「おかーたん、なかないでぇ」を繰り返す。泣いて欲しいのかな？と思う今日この頃。）

それから、まだ湯船に浸かってしばらく遊ぶ。今は水鉄砲がお気に入り。 さぁて、もう出ようか。そこで、最後の一勝負が始まる。

「１、２、３・・・９、１０。もーいーかい？」
「ちがうよ、しょーちゃん。それはかくれんぼのときだよ」
「なーちゃん、もーいーかい？」
「・・・まーだだよ」
「１，２，３・・・９，１０。もーいーかい？」
「もういいかい？」
「もーいーよ」
「しょーちゃん、自分で言っちゃぁだめじゃん！」

タオルで頭を拭いてやってから、湯船から出し、身体を拭いて風呂場の外へ出す。

「おかーさん、しぇくしーやって。なこちゃんもお母さんみたいにやってよ」

そう。バスタオルを身体に巻きつけてくれってこと。随分前にタオルを身体に巻きつけてあげたら、誰か（とうちゃん？　ばあちゃん？　じいちゃん？）が「お、なこちゃんセクシー」とかなんとか言ったんだと思うよ。だからあれは「セクシー」。頭にタオルを巻くのを「セクシー」とは言わないのは何故だろう。ちなみにしょうは「ちぇくしー」という。これが最終儀式。

タオルを脱ぎ捨てたしょうは、また「♪はっだかんぼーのきっしゅ」と歌い踊る。それを聞きながら、後始末。これで１時間。ながーい、ながーい入浴儀式はこうして幕を下ろすのだ。ちゃんちゃん。